『国境の南、太陽の西』

国境の南、太陽の西

村上春樹の本のなかで、一番好きなのは『国境の南、太陽の西』のはずだと思っていた。でも、どんなに好きな小説でもしばらくたったらすっかり内容を忘れてしまうたちゆえ、ほんとうにこの本が一番好きなのかどうか、確信がなかった(我ながら変な話だけれども)。

文庫本が大阪の実家にあるはずだったけどどうしても見つからず、新しく買って大阪から東京へ戻る新幹線のなかで読む。

そして、たぶんこれが一番好きということで間違いなかったんだなあって思う。
そしてずっとこの本だと思い続けていた理由のひとつは、きっとこの題名。国境の南や太陽の西に、そういう場所に無条件に憧れる。雨が降っている場所と降っていない場所の切れ目は見てみたいと思うけれど、もっと遠くのぼんやりとした場所に心惹かれる。心が飛ばされる。

雨は海の上に降るらしいけれど、砂漠にあるものはなんだろう。