インドで

インドに旅行したとき、滞在10日めくらいのこと。毎日毎日、宿を一歩出れば、リキシャに乗れだの、どこどこに一緒に行ってくれだの、どこに行くのかだの、とにかく少なくとも数十メートルは声を掛けられるのに段々とイライラしていた。最初は面白かったけど。

"Where are you from?" というのも結構聞かれて、ジャパンと答えるのも無視するのもいいかげん面倒になってしまった。

つい、どうしても試したくなった。心の中で、在日のともだち、韓国人の知り合い、その他いろんな思いに頭を下げて、思い切って言ってみた。「Where are you from?」 と聞かれて、「コリア」と。思いがけないくらいの勇気がいった。

結局、インド人の態度はずっこけそうになるくらい、私がジャパニーズであろうがコリアンであろうが、まったく変わらなかった。そうか、そうなのか、と思った。

デリーのマクドナルドでイタリア人の女の人としゃべったときに、「ベトナム人?」と聞かれたのにはひっくりかえりそうになった。中国人か韓国人かと聞かれることは随分あったけど、ベトナム人とははじめてだったな。


南米の日系人についての講義を聞いていて、講師の人の話があまりに訥々と眠たかった。でも、途中でふとその人自身がボリビア生まれの日系2世であり、両親はオキナワ出身の移住者であると知り、そういうバックグラウンドの人が研究者であること、私はもう、その事実の前だけに立ちすくんでしまう。